阪神・淡路大震災では被災初期に避難所以外に「選択肢がない」ことが問題となった。
そこで、新潟県では、自宅敷地内に設置できるユニットハウスを無償提供もした。
大家族のために3Kタイプの仮設住宅ができ、ペットの飼育も認められた依然として変わらないこともある。
「かみしめる」と題する社説で「被災した人々の願いは、とりもなおさず生活を元に戻すことだった。
ためには住まいの再建が欠かせない」と書き、不備を指摘している。
また、翌一7日の毎日新聞の社説では「住宅再建が課題」として、「積み残された最大の課題は住宅再建問題だ。
(中略)安定した住まいの確保は被災者の生活再建を促進する。
結果として自治体や国の復旧.復興費を抑えるとの見方もある。
国の支援金も住宅本体再建に使えるようにしたらいい」と書いている。
復興の基盤となる住宅再建への国の支援は相変わらず、極めて限られているのである。
神戸の復興のために投入された約一6兆3千億円のお金のほとんどはインフラ整備など、いわゆる「公共事業」に使われ、被災者生活が立ち直るための第一歩となる住宅への建設、住宅の耐震化、河川改修等、安心、安全のまちづくりに投入されたとは言えない。
個人住宅への建設、改修について公的なお金を使うことはできなかった。
「自然災害に国の責任はない。
自然災害からの再建は自己責任である」というのが国の立場だからである。
姿勢をささえる根幹には「財産権はこれを侵してはならない」という憲法29条の「財産権」がある。
つまり「個人の財産である住宅には公的な資金投入はできない」ということだ。
そこで、大地震のような自然災害に対して、個人の再建のための資金を補ってきたのが義援金である。
1991年6月3日の大規模な火砕流が起こった雲仙岳噴火災害時には、島原市などで義援金.住宅再建助成.家財購入助成をあわせて被災者一世帯当たり最高25O万円の助成金等が支給された。
また、1993年7月12日に地震と津波に巻き込まれた奥尻町北海道南西沖地震津波災害時には同じく最高135O万円の義援金等が支給された。
阪神・淡路の義援金額は173O億円だった。
総額は大きかったが、一世帯当たりの住宅損壊見舞金.持家修理助成などの名目で4O万円が支給されたに過ぎない。
総損害額があまりに大きく、義援金が被災者救済の役割を果たすことはできなかったからである。
神戸のように火災で家が燃えてしまった場合、火災保険に入っていれば保険金が下りると考えている人が少なくないが、間違いだ。
火災保険には免責事項があり、地震を原因とする火災による損害や延焼によって拡大した損害には補償はない。
それを補うのが地震保険である。
地震保険は地震や噴火、津波を原因とする火災.損壊.埋没、流失による損害を補償する地震災害専用の保険で、火災保険への加入が前提となる。
対象は居住用の建物と家財である。
保険料は建物の構造と所在地によって異なっている。
日本を都道府県ごとに最も保険料の安い一等地(北海道や島根、山口、鹿児島、沖縄などで、掛け金も当然安い)から最も高い4等地(東京、神奈川、静岡、愛知の4都県で掛け金は高くなる)までの4段階に分けている。
ちなみに、新潟は昨年の地震の時は2等地である。
地震保険ができたのは、1964年の新潟地震がきっかけだった。
マグニチュード7.5の地震は、死者26人、全壊家屋196O棟、半壊664O棟。
浸水、液状化被害、最高波高5メールの津波も起こった。
これに対して1966年につくられたのである。
制定には当時の大蔵大臣.Tの指示が大きかったという。
地震保険は一度に巨額の保険金を支払う状況が生じる可能性があるので、政府主導の保険であり、損害保険会社が支払えない場合は国が負担する仕組みになっている仕組みだと被害が大きかった場合に支払わなければならない保険金の総額が無闇にふくらんでしまうかもしれない。
そこで限度額が決められている。
総支払い限度額は阪神・淡路大震災の後に大幅に上げられて3兆7000億円となった。
後、引き上げられ、2OO4年3月現在では4兆5OOO億円になっている地震保険の加入率は低い。
2OO4年3月末時点の世帯加入率は、全国平均で、東京24.2%、神奈川23.3%、静岡12.O%、愛知24.O%となっている。
ちなみに、新潟県は全国平均を下回る11.2%だった。
(2OO2年、損保保険料率算出機構のデータ)。
地震保険に加入しない理由として「(支払われる保険料では)建物の再築ができない」のである。
新潟県中越地震によって、調査時よりも加入率が上がったことは予想されるが、それでも多くの家には地震による補償はないのである。
地震で家を失って建て直そうとしても、多くの家族は行政からの支援もなければ、保険もないという状況に陥るのが現在の日本なのである。
結果、阪神・淡路大震災では住宅ローンを抱えたまま自宅が倒壊してしまった人は倒壊してなくなった家のためにローンを払いながら、新たな住まいのために別にローンを組むというダブルローンを抱え込まざるを得なくなった。
そうでなければ、特別な資産がない限り、ローンを払いながら賃貸に住む、あるいは、すべての財産をはき出すことを条件に自己破産の手続きをする以外にないのだ。
ノンフィクションライターのS氏によれば、阪神・淡路大震災後、家を失いながら住宅ローンが残ってしまった人の数を「およそ1万5OOO人」と計算している。
国では震災の直後から「家が壊れてローンだけが残った人に対してどうするか」という議論を重ねた。
一部からはチャラにして、少なくともゼロからスタートできるようにすべきであるという提案もされたが、最終的に国は「自然災害に国の責任はない。
自然災害からの再建は自己責任である」という姿勢は崩さなかった。
自己責任で家を再建したくとも、高齢者の多くには資金がない。
自営業者は仕事も失っている場合が多い。
ダブルローンに耐えられるサラリーマンもそう多くはないだろう。
それでも、神戸ではダブルローンを抱える被災者は2OOO人を超えるという。
こうした状況で「自己責任での再建」を促す国に対し、ねばり強い交渉を重ねた結果、「生活基盤に著しい被害を受けた者であって、経済的理由等によって自立して生活を再建することが困難なものに対し、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して、被災者生活再建支援金を支給することにより、自立した生活の開始を支援することを目的とする」とある。
都道府県が基金をつくり、自然災害で家を失ったが、経済的に困難な人には最高で1OO万円を拠出するという法律である。
法律は2OO4年3月に改正され、支給額は最高300万円にまで引き上げられた。
「自然災害に国の責任はない。
自然災害からの再建は自己責任である」という国の姿勢に風穴を開けたという意味では非常に大きな法律であるが、実は支給対象は次のように極めて限定されたものになっているのだ。
被災した建物の解体.撤去費用や医療費、引っ越しのための交通費、住宅ローンの利子の補給としては支援するが、住宅自体にかかる補修や再建支援には適用されない。
つまり「再建は自己責任」の原則は崩れていないのである。
また、「45歳未満で世帯年収が5OO万円を超える人」と「45歳から59識で世帯年収が7OO万円を超える人」にも支給されないことになっている。
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